ケーススタディ#1 – 施設情報のcsvファイルを活用した多目的電子データ生成 (2/8)–このページは古い情報です。

用語の適用

 用語は本ホームページに登録してあるExcelファイルを利用してFMシステムに適用します。Excelファイルは用語が一つのファイルの一つのシートにまとめられているため、Excel上で不要なカラムを削除して用語ファイルを作成します。想定FMシステムはUTF-8のcsvファイルである事が必要だったので、「名前を付けて保存」でファイルの種類を「CSV UTF-8 (コンマ区切り)」を選んで書き込んでから、想定FMシステムに適用しました。

FMシステムからのファイル出力手順

 想定FMシステムでは、出力するファイルの種類はExcelファイルしかありませんでした。また、後述するツールでは入力はUTF-8のcsvファイルしかありません。そこで、一旦FMシステムからExcelファイルとして出力してから、Excelを使って手作業でcsvファイルに変換する事にしました。手順は以下の通りです。

  • FMシステムで出力する範囲や項目を選択してExcelファイルを出力。この想定FMシステムは、全ての項目を文字列として出力してくれます。
  • ExcelでFMシステムで出力したExcelファイルを読み込み、「名前を付けて保存」でファイルの種類を「CSV UTF-8 (コンマ区切り)」で出力

FMシステムからの出力ファイル

 一般にFMシステム内のデータベースはRDBと呼ばれるデータベース管理システム(RDBMS)で出来ており、数十もの沢山の「表」からできています。表はExcel等の表管理ソフトのシートの様なもので、文字通り行と列の表になっています。従って、データベースの内容をそのままcsvとして出力しようとすると、数十ものcsvを出力しなくてはなりません。このケーススタディではcsvを自治体に渡す事を想定していますから、そんなに大量のcsvファイルを渡す事は現実的ではありません。そこで、全てのデータベースをcsvとして出力するのではなく、幾つかに端折って渡す事になります。どの様に端折るかを検討する前に、「建物(Building)」を例にまともにcsvとして出力するとどうなるのか見てみましょう。データモデルを機械的に分解したものなので、こんなものは要らないという項目もあるかもしれませんが、ご参考に全部列挙します。

csvの種類登録する情報
メインとなるBuildingのcsv建物がcsv上一行になる情報です。項目としては、id、用途、名称、カナ名称、英語名称など、構造を持たないAttributeがそのまま登録されます
通称通称の一覧を示すcsvです。各通称がどの建物のものなのかを示す、Buildingのid等も項目として必要です
土地へのリンク一覧各建物の敷地となる土地へのリンクの一覧です。リンクとは、土地のidです。各リンクがどの建物のものなのかを示す、Buildingのid等も項目として必要です
建物の用途一覧各建物の用途の一覧です。各用途がどの建物のものなのかを示す、Buildingのid等も項目として必要です
性能検証法の一覧各建物が適用する性能検証法の一覧です。各性能検証法がどの建物のものなのかを示す、Buildingのid等も項目として必要です
フロア別用途一覧各フロア名と用途とその用途の面積の一覧です。この一覧がどの建物のものなのかを示す、Buildingのid等も項目として必要です
用途一覧各建物の用途の一覧です。各用途がどの建物のものなのかを示す、Buildingのid等も項目として必要です
場所の一覧各建物の場所の大分類・中分類・小分類の一覧です。各場所がどの建物のものなのかを示す、Buildingのid等も項目として必要です
認可証一覧各建物の認可証や検査証の一覧です。各用途がどの建物のものなのかを示す、Buildingのid等も項目として必要です
履歴一覧各建物の増築・改築・用途変更等の履歴の一覧です。各用途がどの建物のものなのかを示す、Buildingのid等も項目として必要です
室種別換気方式一覧各建物の12条点検で換気方式を報告するための、室の種別ごとの換気方式の一覧です。この一覧がどの建物のものなのかを示す、Buildingのid等も項目として必要です
換気方式一覧各建物の12条点検で報告する室の種別ごとの換気方式設備を設置している室の種別の一覧です。各換気設備がどの建物のものなのかを示す、Buildingのid等も項目として必要です。また、次項の換気方式と対応付けるために、何らかのidを追加しておく必要があります

この様に、Buildingだけで12種類のcsvファイルが考えられます。実際の運用ではこれらの中から必要なものだけを使用します。また、複数のデータモデルをひとつにまとめる事も可能です。例えば、ひとつの建物が複数の土地に跨って建設されている場合があるかもしれませんが、これを代表的な土地の情報ひとつに絞ると、建物と土地をひとつのcsvでまとめる事も可能となります。これが受け入れ可能かどうかは、発注者に確認する必要があります。

 さて、既に述べたように、csvではデータベースの内容全てをcsvとして出力する事は現実的ではないので、本ケーススタディではFMシステムからの出力ファイルとしては、以下の4種類のcsvファイルを設定しました。

■施設情報

 ここで言う施設とは、共通データ仕様の説明の中の言葉遣いとは異なり、施設管理の管理単位です。例えば、学校や複合種瀬を指します。つまり、複数の棟を含んでいたり、ひとつの施設の中に複数の行政サービスの機能が含まれていたりします。

 項目は以下の通りと絞り込みました。

csv項目名補足
不動産ID不動産ID。但し、公共施設を想定しているので、登記していない不動産のため値が入っていないと想定します
施設ID自治体の中でユニークな文字列です
所在地住所がcsvに格納されているとします。但し、GIFの規定には合わず、丁目や番地に漢数字が使われていたり、都道府県名が入っていたり抜けていたりします
所管部門呉市の所管部門の名称が登録されています。所管部門名は自治体内でユニークな名前で登録しているとします。例えば「施設管理部第一課」など
施設名施設名です。自治体内でユニークな名前で登録しているとします。例えば「東町第一公民館」など
タテモノヨミガナ建物のカナヨミガナです
建築年建築年度です
床面積施設の総床面積です
取得価格取得時の価格です
用途用途の定義には多様なものがありますが、想定FMシステムが出力する用途は自治体特有の用途の区分だとします
電話番号連絡先の電話番号を登録します

■施設内の場所の名称一覧

 施設(土地を含む)の場所を三段階で定義しています。例えば小学校だとすると「校舎」「3F」「音楽室」などと三段階で定義しています。

 項目は以下の通りです。

csv項目名補足
施設ID自治体の中でユニークに文字列です。前記の施設情報と突き合わせられるように、同じ施設は同じ施設IDが割り振られています
施設名施設名です。
大分類施設内の場所の大分類です
中分類大分類を更に分類した名称です
細分類中分類を更に分類した名称です

■設備の機種情報

 施設には同じ機種の設備が複数設置されています。例えば照明機器や空調機器などです。そこで、設備の共通情報を機種情報としてまとめています。

 項目は以下の通りです。

csv項目名補足
メーカ名メーカの名称です
型番設備の型番です
ブランド名設備のブランド名です
種別設備の種類が登録されています
設備の色です
説明書その機種のマニュアルに対するurlです
耐用年数その機種の耐用年数です

■設備の情報

 一台いちだいの設備の情報です。

 項目は以下の通りです。

csv項目名補足
製造番号個々の設備を識別可能な文字列です。製造番号を想定しています
設置日設置した日付がExcel形式(“YYYY/MM/DD”)で登録されています
製造日製造日が日付がExcel形式(“YYYY/MM/DD”)で登録されています
設備名施設管理の目的で各設備に付与した名称です
購入価格購入した価格です
型番設備の機種の型番です
施設ID設置した施設の施設IDです
場所大分類, 場所中分類, 場所小分類施設内の設置位置を3要素のリストとして仕様します
場所補足場所に関する補足情報です

手作業でのcsvファイル作成

 FMシステムからの出力されない情報は手作業で作成します。具体的には、Excelでそれぞれ手打ちしてから、csvファイル(BOM無し)として出力します。

■法人情報

 法人情報としては、自治体の情報と包括施設管理事業者の情報の2件しか必要ありません。

 項目は以下の通りです。

csv項目名補足
法人番号法人番号です。数字からなる文字列です
自治体コード自治体に割り当てられた、全国地方公共団体コードで数字5文字からなる文字列です。自治体ではない場合、空欄です
法人名法人の正式名称です
都道府県自治体が市区町村の場合、都道府県名です。例えば呉市の場合は”広島県”を登録します
法人名カナ法人名のカナ表記です。全角カナで登録します
所在地登記上の住所です
種別“市区町村”または”株式会社”です

■部門情報

 登録が必要な部門は所管課の情報なので、ここでは2件だけです。

 項目は以下の通りです。

csv項目名補足
部門番号自治体の中でユニークな文字列です。こごては6桁の数字からなる文字列としています
部門名部門の名称です。自治体の中でユニークになる必要があります。
法人名法人名です

 ここまでで、自治体に最初から提供する必要がある電子データの生成は完了です。次ページ以降は、例えば後任の事業者への引継ぎなどで電子データの形式も共通データ仕様に合わせる必要があるときに実施する作業となります。