共通データ仕様とは

 ここでは、自治体の一般の職員や民間企業の営業担当など、技術者ではない皆さま向けに記述しています。記述内容を正確に理解して頂く必要は必ずしもありません。雰囲気を感じて頂ければと思います。尚、技術的に見ると必ずしも正確ではない記述もありますので、技術者の方は「技術情報」の内容を併せてご覧ください。

段階的に対象のデータ仕様を拡張します

 本協議会の活動対象は官民連携に関わる全ての事業です。ただそうは言っても、膨大な事業領域を一気に対象には出来ませんので、最初の対象は公共施設としています。これは、公共施設は老朽化や職員の負荷増大などの数多くの課題を抱えている一方、市民の活動の基盤であるだけでなく、災害時には避難所になるなどの生きるための必須施設でもあるためです。言い換えると、公共施設の情報が電子化され公開されると、防災・観光・地域活動など多くの活用が期待出るためでもあります。

 公共施設の次にはインフラや公園などに関するデータ仕様にも拡張するべく、現在関係者間で議論中です。

施設(建物)の建築や維持管理では数多くの法人が情報をやりとりします

 公共施設では自治体の職員などが施設の計画・設計・建築・運営・維持管理などで数多くの民間事業者とコミュニケーションをとる必要があります。また民間事業者も、例えばPFIでは維持管理会社は個々の業務を再委託する場合は再委託先の企業とコミュニケーションを取りますし、指定管理や包括施設管理でも同様に数多くの企業とのコミュニケーションが必要です。更に、公共施設はへ防災・観光・市民生活の基盤でもあるので、広く情報公開される事も望まれます。

 これらの多様なコミュニケーションでは、施設そのものに関する情報や施設の不具合や改善要望の情報が飛び交うので、コミュニケーションの目的に関係なく実際にやり取りする情報の中身はごく似通っています。例えば、施設の名称や所在地、施設内の各部屋の名称などは業務に関係なく同じです。一方、意味は同じでも違う用語でコミュニケーションする場合も多いでしょう。例えば”空調”であれば”空調”以外に”エアコン”、”空気調和装置”、”クーラー”など多様な呼び方があります。同様に不具合の呼び方も多様です。例えば壁に書かれたいたずら書きは、”いたずら書き”以外にも”汚れ”、”汚損”、”塗料付着”などの呼び方があります。

 人間が紙とハンコで業務を行っていた時代にはこれらの用語の相違は問題になりませんでした。人間は空調とエアコンが同じものを指している事は理解していますし、もし意味が分からなければ聞き返して確認するでしょう。しかし、近頃は報告書などの帳票類を紙で提出する代わりにExcelやcsvで提出したり、スマホのアプリやWebから登録するケースが増えてきました。そうなると、受け取った報告書をパソコン上で検索したり集計したりできる様になるため、用語の相違が問題になってきます。

やりとりする帳票を共通化します

 人間が定型的な情報のやりとりをする際、良く「帳票」を用います。帳票を用いる事で、記入漏れを防止したり、効率よく情報を整理できたりします。実は、アプリからコンピューターに情報を登録する際や、コンピューター間で情報をやりとりする際も、多くの場合この帳票を用います。ここでは紙帳票と区別するために電子帳票と呼びます。電子帳票も帳票ですから、項目が並んでいて、それぞの項目にどの様な内容をどの様に記入するかの約束事があります。PPP共通データ仕様協議会とは、この電子帳票の約束事を共通化しようという取り組みです。

 参考に、人間用の帳票と電子帳票(コンピュータ用の帳票)をお見せします。

 左が人間用で、右がコンピュータ用です。右の電子帳票の約束事の事をデータ仕様と呼んでいます。このデータ仕様を共通化したものが共通データ仕様です。余談ですが、電子帳票には幾つかの流儀があり、有名なのはExcelファイルとかCSVと呼ばれるものだと思います。この図の帳票例はデジタル庁がエリア・データ連携基盤として推奨しているソフトウェアの流儀である「ジェイソン(JSON)」で記述しています。

PPP共通データ仕様協議会の活動方針

 PPP共通データ仕様協議会の活動の目的は、企業/団体間でやりとりするデータのデータ仕様を共通化することで、データを蓄積や分析を可能とすることです。また、スマートシティの様な多様な参加者が情報交換する場合にも、このデータ仕様の共通化が必須の基盤となります。

 そこで本協議会では以下の様に方針を定めています。

〇仕様共通化の意義や成果を広める活動

  • データ仕様は無償で公開します。公開はWebを通じて行います(このホームページです)
  • セミナーや個別の説明会を通じて共通データ利用への理解を深めて行きます
  • 本協議会のメンバに対し、メールなどの活用して共通データ仕様や本協議会の情報を共有します

〇仕様策定に関する活動

  • 既存のデータ仕様をできる限り活用します。例えば、政府は政府相互運用性フレームワークGIF(Government Interoperability Framework)などで各種のデータ仕様やガイドラインを公開しています。このGIF含めて既存のデータ仕様を共通データ仕様と捉え、普及に努めます
  • 既存のデータ仕様に適切なものが見つからない場合は本協議会で策定しますが、その際にも政府のガイドラインや方針、各種団体や海外で策定されたデータ仕様を最大限活用し、独自の仕様はできるだけ狭い範囲に留めます

〇仕様策定後の活動

  • データ仕様は技術の進歩やデータ利用ニーズの拡大に沿って拡張され、時には交替していきます。そこで、協議会のメンバ等の要望や環境の変化に従って、データ仕様を拡張していきます

[ご参考] 帳票を共通化するとお得です

 人間用の帳票と同様に、コンピュータ用の帳票も共通化すると色々といい事があります。

■帳票を提出する側のメリット

  • 帳票の提出先ごとに帳票を変更する必要がありませんので、帳票を作成するコンピュータのプログラムが最小限で済みます
  • 提出時に控えを保存しておけば、ビックデータとして分析に活用できます
  • プログラムへのデータ入力はスマホ・タブレット・PCで現場の方々が行う事が多いと思いますが、その作業が統一されます

■帳票を受け取る側のメリット

  • 帳票の仕様を策定する必要がありません。帳票の仕様は受け取る側が策定する事が多いですから、もし個別に策定しようとすると、受け取る側はエンジニアを用意して対応する必要があります
  • 帳票の提出元が変わっても、帳票の形式が変わりません。また、帳票の項目に登録する用語などのルールも統一されますので、帳票の記入者に因らず記述内容が共通化されます
  • 帳票を保存しておけば、提出元が違っていても帳票の仕様が同じなので、ビックデータとして分析に活用できます
  • 帳票のデータを活用するプログラムが、最小限で済みます。また、他の提出先に既にプログラムがあれば、流用する事も可能です

■ICT事業者にとってもメリット

 帳票の提出元や提出先にプログラムやサービスを提供する事業者にとってのメリットです。

  • ひとつのプログラムやサービスを複数のお客様に販売できるので、価格を下げてもビジネスが成立しやすいです
  • 利益が見込めるので、高機能化やコストカットなどの投資が行え、競争力を強化でききます

[ご参考] どの帳票を共通化するか

 人間用の帳票と同様に、コンピュータ用の帳票も共通化するのは団体間でやりとりする帳票です。また、オープンデータの様に帳票を不特定の相手に公開する場合も含まれます。

 逆に言うと、組織内に閉じてやりとりする帳票類は当面は共通化活動の対象外です。組織内の情報は競争領域である事が多く、共通化はこの競争を阻害する可能性もありますので、当面は対象外としています。

[ご参考] どうやって帳票を共通化するか

 人間用の帳票を元にコンピュータ用の帳票を策定します。ある業務に使う人間用の帳票は複数ある事が通常ですので、それらの帳票から項目を抽出して、コンピュータ用の帳票に変換します。その過程で、帳票の提出元や提出先の関係者が意見を出し合いながら共通化を図ります。

 尚、デジタル庁からコンピュータ用の帳票の策定に関する指針を「政府相互運用性フレームワークGIF (Government Interoperability Framework) 」として公開されていますし、帳票をやりとりするプログラムである「エリア・データ連携基盤」の仕様も公開されていますので、それらに準拠して帳票を策定します。