共通データ仕様とは

 ここからは、自治体の一般の職員や民間企業の営業担当など、技術者ではない皆さま向けに記述しています。記述内容を正確に理解して頂く必要は必ずしもありません。雰囲気を感じて頂ければと思います。尚、技術的に見ると必ずしも正確ではない記述もありますので、技術者の方は「技術情報」の内容を併せてご覧ください。

やりとりする帳票を共通化します

 人間が定型的な情報のやりとりをする際、良く「帳票」を用います。帳票を用いる事で、記入漏れを防止したり、効率よく情報を整理できたりします。実は、コンピュータ間の情報のやりとりも、多くの場合この帳票を用います。共通データ仕様とは、この帳票の仕様を共通化しようという取り組みです。

 参考に、人間用の帳票とコンピュータ用の帳票をお見せします。

 左が人間用で、右がコンピュータ用です。右のコンピュータ用の帳票の仕様の事をデータ仕様と呼んでいます。このデータ仕様を共通化したものが共通データ仕様です。余談ですが、コンピュータ用の帳票には幾つかの流儀があり、有名なのはExcelファイルとかCSVと呼ばれるものだと思います。この図の帳票例は「ジェイソン(JSON)」という流儀で記述しています。

帳票を共通化するとお得です

 人間用の帳票と同様に、コンピュータ用の帳票も共通化すると色々といい事があります。

■帳票を提出する側のメリット

  • 帳票の提出先ごとに帳票を変更する必要がありませんので、帳票を作成するコンピュータのプログラムが最小限で済みます
  • 提出時に控えを保存しておけば、ビックデータとして分析に活用できます
  • プログラムへのデータ入力はスマホ・タブレット・PCで現場の方々が行う事が多いと思いますが、その作業が統一されます

■帳票を受け取る側のメリット

  • 帳票の仕様を策定する必要がありません。帳票の仕様は受け取る側が策定する事が多いですから、もし個別に策定しようとすると、受け取る側はエンジニアを用意して対応する必要があります
  • 帳票の提出元が変わっても、帳票の形式が変わりません。また、帳票の項目に登録する用語などのルールも統一されますので、帳票の記入者に因らず記述内容が共通化されます
  • 帳票を保存しておけば、提出元が違っていても帳票の仕様が同じなので、ビックデータとして分析に活用できます
  • 帳票のデータを活用するプログラムが、最小限で済みます。また、他の提出先に既にプログラムがあれば、流用する事も可能です

■ICT事業者にとってもメリット

 帳票の提出元や提出先にプログラムやサービスを提供する事業者にとってのメリットです。

  • ひとつのプログラムやサービスを複数のお客様に販売できるので、価格を下げてもビジネスが成立しやすいです
  • 利益が見込めるので、高機能化やコストカットなどの投資が行え、競争力を強化でききます

どの帳票を共通化するか

 人間用の帳票と同様に、コンピュータ用の帳票も共通化するのは団体間でやりとりする帳票です。また、オープンデータの様に帳票を不特定の相手に公開する場合も含まれます。

 逆に言うと、組織内に閉じてやりとりする帳票類は当面は共通化活動の対象外です。組織内の情報は競争領域である事が多く、共通化はこの競争を阻害する可能性もありますので、当面は対象外としています。

どうやって帳票を共通化するか

 人間用の帳票を元にコンピュータ用の帳票を策定します。ある業務に使う人間用の帳票は複数ある事が通常ですので、それらの帳票から項目を抽出して、コンピュータ用の帳票に変換します。その過程で、帳票の提出元や提出先の関係者が意見を出し合いながら共通化を図ります。

 尚、デジタル庁からコンピュータ用の帳票の策定に関する指針を「政府相互運用性フレームワークGIF (Government Interoperability Framework) 」として公開されていますし、帳票をやりとりするプログラムである「エリア・データ連携基盤」の仕様も公開されていますので、それらに準拠して帳票を策定します。