業務への適用 (包括施設管理の場合) (3/4)

登録したデータの活用

 次に共通データ仕様で登録されたデータを活用する例を見てみましょう。

■事業者間の引継ぎの簡素化

 最も基本的な活用例は、包括施設管理の事業者が交替する際の引継ぎでしょう。契約の終了時に施設に関する情報と過去の不具合に関する情報を共通データモデルに従った形式で事業者から自治体に渡します。後任の事業者は準備期間が必要ですから、具体的に渡す日程や手順は、事前に調整する必要があります。引継ぎに使用するだけですので、自治体は情報の中身について参照する必要はなく、そのまま渡すだけで済みます。

■独自の分析ツールの作成

 この例は、不具合の処置状況を一覧で表示しています。この登録内容もフィクションです。

 尚、登録されたデータは元を辿っていくと、元々は包括施設管理事業者のFMシステムから出力されたものです。従って、下記の帳票はFMシステムから直接出力する事も可能かもしれません。従って、実際には下記どおりの活用があるかどうかは事業者や自治体に依存すると思われます。あくまでも例示と理解してください。

 この様に、登録したデータを活用するプログラムを作成する事で、色々な目的で活用できます。例えば、特定の建物の不具合の履歴や、特定の設備の不具合傾向を調査するなども考えられます。

■スマートシティで活用

 スマートシティガイドブックに記載している通り、スマートシティを構築する際には都市OS(≒エリア・データ連携基盤)の実装が望まれます。エリア・データ連携基盤の中核機能はデータのやりとりを制御するブローカー(データ連携機能)としては、デジタル庁はFiware/Orionを推奨しています。Fiware/OrionはNGSI V2の規格に準拠していますから、本共通データ仕様に従っているデータはそのまま登録可能です。包括施設管理の事業者が提供する情報には、土地・建物・施設などの情報が含まれています。これらの情報は公共施設管理だけでなく、交通・観光・防災などのアプリケーションでも使われる重要な情報ですから、スマートシティのアプリの基盤ともなります。