Column (No. 1)

[付録] IoTって何

 IoTって何でしょう。以前は電気釜とか冷蔵庫とかあらゆるものがインタネットに繋がる時代だなどと言われていましたが、よく分からないので今流行りのChatGPTに聞いてみました。

You

IoTとは何ですか

ChatGPT


IoT(Internet of Things)は、「モノのインターネット」とも呼ばれ、インターネットに接続されたさまざまな物理的なデバイスや機器が相互に通信し、データを交換することを可能にする技術のことです。これにより、センサーやアクチュエータなどのデバイスが、リアルタイムで情報を収集し、処理し、必要に応じて行動を起こすことができます。

IoTの主な特徴は次のとおりです:

  1. 接続性: IoTデバイスはインターネットに接続されており、データの送受信が可能です。これにより、どこからでもリアルタイムでデバイスを監視および制御できます。
  2. センシングとデータ収集: IoTデバイスは、さまざまな種類のセンサーを使用して、環境やデバイスの状態に関するデータを収集します。例えば、温度、湿度、位置、動きなどの情報を収集できます。
  3. データの利活用: 収集されたデータは、分析や処理を通じて価値のある情報に変換されます。これにより、ビジネスや日常生活の様々な側面で、より良い意思決定が可能になります。
  4. 自動化と制御: IoTシステムは、収集されたデータに基づいて自動的に行動を起こすことができます。例えば、センサーが特定の条件を検出した場合、自動的に機器を制御して問題を解決することができます。

IoTは、産業、農業、医療、交通、スマートホームなど、さまざまな分野で利用されています。この技術の進歩により、効率性の向上、リアルタイムなモニタリング、資源の最適利用など、さまざまな利点がもたらされています。

 やはり世の中でよく言われている内容で回答されてしまいましたが、技術と言う観点で見ると残念ながらこの答えでは50点不合格です。IoTはデバイスがインタネットに繋がるという観点は正しいのですが、それだけでは足りません。IoTにおいて、デバイスがインタネットを経由して直接コンピュータに繋がるという事は、言い換えるとヒトを介さずにデータのやり取りができるという事です。インタネットに繋がるデバイスには小型のコンピュータが組み込まれていてそのコンピュータを通じてデータをやり取りしますから、IoTとはコンピュータ同士が人を介さずににデータを授受できる技術と言い換える事が出来ます。また、デバイスというと冷蔵庫や電気釜というイメージがありますが、ちょっとデバイスとは呼びにくいサーバーなどの大きめのコンピュータやクラウドでも構わず、これらが人を介さずに繋がるのがIoTという事になります。

 人を介すると、人はは柔軟にデータを集計したり表現の揺れを吸収したりしますので、コンピュータ間のインタフェースのずれやデータ表現のずれもちゃんと吸収してくれます。従って、人を介さないIoTの場合はインタフェースの共通化、特にデータ仕様の共通化が大事になるわけです。

 繰り返しますが、IoTとは人を介さずにコンピュータ同士が直接データの授受を行う技術です。

[付録] デジタルツインの前にアナログツイン

 ここではデジタルツインについて書きたいと思うのですが、その前にアナログツインについて確認しましょう。アナログツインという言葉はありませんが、現実世界をそのまま表現しようとしているものはデジタルが出現する前から沢山あります。例えば、地球を表現しているものは地球儀でしょうし、建物・インフラ・街並み・航空機・自動車などの多くの種類のミニチュアもよく見かけますよね。

 これらは立体のものをそのままを表現しているので、専門的な知識が無くても対象物を理解しやすいという特徴があります。また、建物のミニチュアであれば実際に風を当ててビル風の様子を観察するとか、自動車のミニチュアでは風洞で風の抵抗を測るなどの目的にも使われます。

 でも、これらのアナログツインには幾つかの問題がありました。例えば地球儀では持ち運びにくいとか、高価になってしまうとか、細部まで表現しようとするとアナログツインが大きくなってしまうなどですね。そこで、二次元の出番となります。

地球儀を平面にしたものが地図です。地図になると、持ち運びやすい、縮尺を自由に選択できる、大量に印刷できるなどのメリットがあります。一方、実際には立体であるものを平面にするのですから、色々な問題が発生します。地図の場合は元々は曲面のものを平面にするのですから、距離を正確にしようとすると面積が不正確になる、面積を正確にしようとすると形状が不正確になるなどは、子供のころに学校で習いましたね。建物の場合であれば、内部構造含めて平面に写し取るのですから、目的に合わせて大量の図面を矛盾なく作成しなくてはなりません。もうこうなると、図面を見ても専門家でないと何がどうなっているのか想像する事も難しくなりますし、コストも膨大になりますし間違いも引き起こしそうですね。

 コンピューターが現れて色々なものが電子データになりましたが、多くの場合はこの平面のものをそのまま電子データ化したものでした。従って、アナログ時代の地図や図面の欠点をそのまま引きずっていました。そこで元々の立体物をそのまま電子データで表現しようという発想がデジタルツインという事になります。アナログツインでは、持ち運びにくいとか大きくなってしまうなどの課題がありましたが、デジタルではその様な欠点はありません。また、地球儀とかミニチュアの様に一つのモノを立体模型にするだけではなく、複数のモノから構成される環境をそのまま作る事も容易になります。例えば街並みをそのまま表現する事が可能とるわけです。

[付録] デジタルツインって何

 さて、まずはデジタルツインについChatGPTに聞いてみましょう。

You

デジタルツインとは何ですか

ChatGPT

デジタルツイン(Digital Twin)は、現実世界の物理的なオブジェクトやプロセスをデジタルの形でモデル化したものです。つまり、実世界の物体やシステムに対応する仮想的なデジタルコピーです。このデジタルツインは、センサーデータや他の情報ソースからリアルタイムでデータを収集し、物体やシステムの状態を反映します。

デジタルツインの主な特徴は次のとおりです:

  1. リアルタイムの反映: デジタルツインは、物理的なオブジェクトやプロセスの状態をリアルタイムで反映します。これにより、物体やシステムの状態をリアルタイムで監視し、必要に応じて迅速な対応が可能になります。
  2. シミュレーションと予測: デジタルツインは、物体やシステムの挙動をシミュレーションし、将来の状態を予測することができます。これにより、潜在的な問題や改善の余地を事前に特定し、適切な対策を講じることができます。
  3. 遠隔監視と制御: デジタルツインを使用することで、物理的なオブジェクトやプロセスを遠隔地から監視し、制御することが可能になります。これにより、リモート環境や危険な場所での作業を安全に行うことができます。

デジタルツインは、産業、製造、エネルギー、医療、都市計画などのさまざまな分野で利用されています。これにより、効率性の向上、リスクの低減、サービスの最適化など、さまざまな利点がもたらされています。

 IoT同様にこの答えでは技術的観点では50点不合格です。そりゃそうですよね、技術観点での特徴を聞いていないのですから、別にChatGPTが悪いわけではありません。OpenAIさん、ごめんなさい。

 さて、本協議会のデータ仕様では、「モノ」とか「コト」という表現をしていますが、それらがChatGPTの回答では「現実世界の物理的なオブジェクトやプロセス」と表現しています。なぜ、モノやコトをモデル化するのでしょうか。それは、現実世界を映してるので、汎用性が高いためです。色々な業務や分析は現実世界を対象としていますから、現実世界をそのまま表現する事ができれば、汎用性が高いという事になります。

 実際の業務で使う帳票や伝票は(意識はしていないと思いますが)デジタルツインの情報を目的に応じて取捨選択すると共に複数のモノやコトをひとまとめにして単純化してあります。例えば、領収書(レシート)。領収書とは取引というコトを表現しているのですが、書かれている内容を見ると店名・電話番号・事業者番号などの売り手の情報や、商品名など商品の情報も含まれています。更に領収書は経理的な目的で作られていますから、商品に関しては多くの情報が失われています。例えば、どこの棚に有ったとか、賞味期限などの情報は記載されていません。従って、領収書をいくら集めても「商品棚のどこが販売量が多いのか」「賞味期限と販売量の関係は」などの分析はできません。もし領収書上に個々の商品の一つひとつの情報が事細かに記載されていたのかの情報まで記載されていればこれらの分析も可能となりますね。でも、領収書は紙ですから、そんなに大量の情報を印刷する事は現実的ではありません。やはり、紙とハンコの世界では、現行の領収書の情報量が妥当と言う事になります。

 ここで想像がつく様に、汎用的なデータを帳票や伝票に揃えるには多くのコストと手間がかかります。デジタル化してもコンピュータのCPUやストレージの容量も膨大になります。更に言えばこの様な膨大なデータを人間を介してやり取りするのは現実的ではありません。つまり、デジタルツインを実現する場合はIoT的な人を介さずに情報をやりとりする技術が同時に必要になるわけです。言い換えるとIoTをデータから見たものがデジタルツインであり、デジタルツインを活用するコンピュータネットワークがIoTと言う事になります。この二つは独立な技術ではなく車の両輪のようなものだということになります。