施設管理のデジタル化の潮流
施設管理と呼ばれる分野のコンピュータシステムには各種設備や施錠などの状態を監視する「ビル管理システム」、建物や土地などの資産を管理する「資産管理システム」、そして各社や自治体の中で不具合の状況や修繕状況や予算消化状況などを把握するための「施設管理システム」などの多様なシステムが存在します。実際のシステムではこれらの各種システムはバラバラに存在するとは限らず、ひとつのシステムが多様な機能を兼ね備えています。
デジタル化の進展に伴い、これらの機能に加えオーナーや関係事業者間で情報共有やビジネスプロセスを回す仕組みを備えるものが出てきました。

複数の組織間でコンピュータを通じて情報共有する際に課題となるのが共通の言葉で会話する必要があるのに、共通の言葉が整備されていないという事です。コンピュータを使った組織間の会話には幾つかの形態がありますので、以下、それぞれの形態について見ていきましょう。
一つ目はひとつのFMシステムを組織間で共用する形態です。いずれかの事業者が保有するFMシステムや専門事業者から導入したFMシステムを各組織が共同利用して情報を共有します。この形態では画面や帳票はFMシステムが備えているものを利用しますから必然的に画面や帳票は共通化されます。あとは、FMシステムに情報を登録する際の「用語」を共通化する必要があります。しかし、特定の組織が勝手に決めた用語を採用してしまうと他の組織はプロジェクトごとに使う用語が変わる事になるので得策ではありません。また、用語を決めた事業者が何年か後に他の事業者に交代すると用語が変わってしまうので、その観点でも事業者にとっても施設オーナーにとっても望ましくありません。そこで共通データ仕様が提供している「用語」を採用する事で、プロジェクトが変わっても事業者が代わっても用語が共通化される事になります。
更に事業者が交替するときには、データをどうやって引き継ぐかという課題もあります。BIM (Building Information Modeling)では共通の形式としてIFCという仕様がありますが、施設管理にはその様な形式はありません。そこで、共通データ仕様の電子データの形式を活用してデータを引き継ぐ事が効果的です。また、CSVやXMLなど、共通データ仕様のデータ形式とは異なる形式でデータを引き継ぐ場合も、共通データ仕様のデータ形式を継承したデータ仕様で引き継ぐ事も可能です。
二つ目の形態は、FMシステムを共有するのではなく、電子データをやりとりする形態です。この形態では電子データの形式や用語を共通化する必要がありますが、一つ目の形態と同様に特定の組織の形式や用語を採用する事は望ましくありませんので、共通データ仕様の電子データの形式や用語を採用する事が望ましいです。
尚、この形態ではCSVでの情報共有が広く採用されていますが、共通データ仕様の基礎知識やケーススタディ#1で説明する様にCSVには大きな制約があり、うまく設計しないと数多くの種類のCSVを部門や業務ごとに設計する必要が出てきます。CSVを設計する際には共通データ仕様の考え方に基づいてCSVの設計間で矛盾が無い様に検討する事が必要です。詳しくは後述しますが、併せて共通データ仕様の基礎知識とケーススタディ#1もご覧ください。
三つ目の形態は「データ連携基盤」と呼ばれるシステムを置く形態です。各組織は必要に応じてこのシステムに情報を登録したり参照したりします。イメージとしては、大きなホワイトボードを置いておいて、各組織がそのボードに書き込んだり読んだりする感じです。デジタル庁ではこのシステムとして「エリアデータ連携基盤」を活用しようと考えています。従来は市区町村単位にこのエリアデータ連携基盤を設置する事が多かったのですが、デジタル庁はより早い普及を実現するために都道府県単位やそれ以上範囲で共同利用を進めようとしています。この形態では、用語の共通化に加えて電子データの形式をエリアデータ連携基盤のインタフェースの仕様1に準拠しておく必要があります。そこで、共通データ仕様のデータの形式はこの仕様に準拠してあります。
これらの形態は必ずしも独立のものではなく、組み合わせて実装します。例えば、外部からFMシステムを導入して普段はこのFMシステムの画面やアプリを通じて情報共有しつつ、電子データを施設のオーナーに提供して二次利用するなどの実装が幅広く見られます。今後は更にエリアデータ連携基盤も活用して観光や防災にも施設情報を活用する事が期待されます。
施設管理の形態
共通データ仕様はどの様な形態の施設管理でも適用可能です。以下、代表的な形態を例示します。ここに例示する形態以外、例えば指定管理でも勿論構いません。
■包括施設管理業務委託
包括施設管理業務委託は「業務への適用 」に記載した様に自治体が行う施設管理業務を民間企業にアウトソースする形態です。民間企業は単に自治体職員の作業を代行するだけでなく、巡回点検などの付加価値を提供すると共にデジタル化を推進します。従って、FMシステムを選択し関係者に提供する立場となります。
■PFI
PFIでは代表企業がFMシステムを構築、または導入する事が多いと考えています。勿論、構成企業や協力企業がFMシステムを導入する事もあると考えます。 代表企業はFMシステムを活用する事で、自治体に新たな付加価値、例えばいつでも即時に状況確認できる、を提供する事が可能となります。また、情報共有を通じて代表企業自身の業務も高度化・効率化する事が可能となります。
想定するFMシステム
既に述べたようにFMシステムには多様な機能や形態があります。そこで、この説明で想定するFMシステムについて記載します。FMシステムとしては、どの様な形態でもどの様な機能を実装していても構いません。但し、少なくともFMシステム内に保存してあるデータを電子データの形で出力する機能を備えている事を想定します。電子データの出力とは以下形態を想定しています。
csvやExcelなどの表形式で出力

一般的なFMシステムではcsvファイルやExcelファイルでデータを出力する機能を備えている場合が多い様です。この機能を利用して、csvやExcelの形式で電子データを出力する形態です。
この形態では直接共通データ仕様の形式で出力することは出来ませんが、Excelやcsvに各項目に入力されている内容や用語は共通データ仕様を活用する事ができます。また、CSVを上手く設計しておくことで、ケーススタディ#2で掲載する様に、一旦出力した電子データを共通データ仕様の形式に変換する事も可能です。
FMシステムから直接共通データ仕様の形式で出力

FMシステムが直接共通データ仕様の形式で出力する機能を備えている形態です。
現在(2025-04-20)の時点でこの機能を備えているFMシステムの存在は確認できていませんが、沢山のcsvをお客様毎に設計する必要が無くなるなどのメリットもあり、幾つかの事業者が興味を示しています。事業者がFMシステムを自社で保有してある場合は、FMシステム自体を改造して共通データ仕様で出力する事も可能です。
尚、共通データ仕様はデジタル庁がエリアデータ連携基盤のブローカーとして推奨しているFiware/Orionの仕様であるNGSI V2に準拠しています。従って、この形態で出力した電子データを後でエリアデータ連携基盤に後で一括入力する事も可能です。
FMシステムから直接共通データ仕様の形式で出力

自治体がエリアデータ連携基盤を実装している場合は、エリアデータ連携基盤が持っているOpen APIを通じて電子データを登録する事が可能です。この形態の特徴はデータを多目的に活用できる事です。
デジタル庁を中心に政府はこの形式を将来的には普及させていきたいと考えていると思われます。
電子データの提供形態と時期
電子データを施設オーナー (下例では自治体) にお渡しする形態は色々あると思いますが、代表的な形態としては、前節に対応して以下の3っつの形態を想定しています。どの形態にするのかは、お客様が電子データをどう使いたいのか、事業者がどの程度システム的に対応可能なのかに依存しますので、最初に取り決めておく必要があります。
csvやExcelで渡す

FMシステムのcsvやExcelファイルでデータを出力した電子データを提出する形態です。お客様はcsvやExcelで分析や集計を行うことができます。
但し、csvやExcelのデータは表形式なので、提供できるデータには制約があります。従って、利用目的に合わせた電子データをお客様の要望に合わせて提供する必要があり、提供する電子データの種類が多くなってしまうという欠点があります。
この形態ても用語は業務開始当初から適用する必要があります。また、次の事業者に対しては、必要なデータをひとまとめにした「データセット」を渡す必要があります。
この形態はケーススタディの1と2でも取り上げます。
共通データ仕様の形式で渡す

共通データ仕様はデジタル庁が推奨するエリアデータ連携基盤の仕様に合わせてあります。FMシステムが共通データ仕様に合致する電子データで提供する事で、csvやExcelでは表現できない情報も提供可能となります。例えば土地の形状をポリゴン(座標の列)で表現している場合などがあります。
提供された電子データは多目的に活用可能ですから、利用者は必要な部分を取り出して分析や集計を行う事が可能です。
次の事業者には、提供した電子データをそのまま渡す事が可能です。
データ連携基盤に直接登録

この形態はエリアデータ連携基盤などのシステムの実装が前提となります。報告書の提供と同時にシステムに電子データを登録します。共通データ仕様の報告書 (Report) のデータには、pdfなどの報告書の格納場所も登録可能ですので、報告書の提出自体を電子データで行う事もできます。
利用者はエリアデータ連携基盤が提供する機能(座標や距離で抽出するなど)を利用できるだけでなく、施設管理以外の業務にもそのまま利用可能となります。
前記の電子データの提供形態にも関係しますが、電子データをお客様にお渡しする時期についても幾つかの形態があります。代表的な提供時期としては以下の3っつを想定しています。
契約終了時に一括して電子データを提供
包括施設管理業務委託の契約期間の終了時に一括して電子データを渡す形態です。従って、電子データの目的は次の事業者への引継ぎの効率化となります。
この場合も、用語は業務開始当初から適用する必要があります。書類による報告は随時行われますし、事業者によってはお客様 (自治体) に端末やお客様専用のWebサイトを提供する場合がありますので、お客様の担当者は電子データが手許に無くても、共通データ仕様の用語に準拠した情報が得られます。
定期的に電子データを提供
例えば月末や年末などに電子データをまとめて提供する形態です。電子データには、公共施設の基本情報と不具合の情報が含まれますが、基本情報の方は初回から一括して電子データ化して渡す必要があります。
この場合も、用語は業務開始当初から適用する必要があります。
自治体側のメリットは最新の施設情報が手に入りますから、電子データを施設計画や分析に活用できる点です。
報告書と同時に電子データを提供
この形態はファイルサーバやエリアデータ連携基盤などのシステムの実装が前提となります。報告書の提供と同時にシステムに電子データを登録します。
お客様が電子データを他の業務にも活用しようとする場合には、最新の施設の情報が共有されるので、メリットが大きいと思われます。一方、エリアデータ連携基盤を実装する必要があります。
共通データ仕様で使用する言葉の整理
「施設」と言う言葉や建物という言葉が何を指しているのかは事業者やFMシステムによって多少異なる様です。そこで混乱を避けるため、本題に入る前に共通データ仕様の「施設」と「建物」という言葉が何を指しているのかについて少し整理します。
辞書を引くと、施設とは何らかの「目的」のために設ける構造物や建築物や設備を指すとの事です。例えば、アウトレットの様な大型商業施設であれば商業を営むための建物群や設備群でしょうし、公共施設であれば公共サービスを提供するための建物群や設備群ということなります。

この例では施設は建物と建物の敷地と設備を合わせたものというイメージです。施設管理の対象となる施設は一般的にこの施設を指しますし、共通データ仕様の説明もこれを基本としています。しかし、ややこやしいことに一般的には建物に入居しているテナントも施設と呼ぶことがあります。例えば、駅前のビルに「市民センター」などという窓口を設置している例や、下図のように複合施設に複数の公共施設が入居している例などがあります。これもまた施設ですが、区別したい場合はこちらの施設を「テナント施設」と呼ぶことにしました。

尚、施設カルテなどではテナント施設ごとにレポートしている場合もありますから、自治体としてはどちらの施設も重要です。共通データ仕様としてはどちらの形態でも表現できるようになっています。また、避難所の様に期間を限定したテナント施設も表現可能です。繰り返しになりますが、全体を表す施設、つまり図中で赤の太線で囲んた施設が施設管理の対象です。テナント施設は施設管理にとっては補完的な情報となります。
同様に建物も複数の意味を持ちます。例えば前出の小学校の図では校舎と体育館を合わせた全体を「建物」と言う場合もあれば、校舎と体育館を別の建物と言う場合もあります。多くの場合、後者の建物は「棟」と呼んだりします。建築基準法に定められている12条点検では、報告は前者の建物で行いますが、報告書の中を見ると棟毎に細かな報告を求められています。この様な事情から共通データ仕様の建物は建物全体も表現できますし、建物に含まれる建物(棟)も表現できるようになっています。施設管理にとって必須の情報は全体を表現する「建物」であって、棟を表す「建物」はやはり補完情報という事になります。
事前検討 — どの電子データを活用するのか
ここからは事前検討について記載します。最初にやらなくてはならないのは、どこでどの種類の電子データを活用するかを決める事です。以下、各種電子データの特徴について説明します。利用者は適材適所でこれらの種類を組み合わせて電子データを活用します。
■電子帳票
ここでいう電子帳票とは、FMシステムの表示画面、Webブラウザ、およびスマホ等のアプリで画面に表示される帳票を指します。その場限りの表示にはなりますが、最新状態を確認したり、会話的にデータを更新したり、FMシステムによっては検索や分析が出来たり、細かな情報を確認できたりしますので、業務の基本となる電子データです。
短所は、前記の様に「その場限り」であること、FMシステムや事業者が代わるとデータが失われる事です。そこで、後述する他の種類の電子データと組み合わせて活用する事が必要です。
■表示用電子データ
ここでいう表示用電子データとは、pdfなどの紙と同様にサインや印影などを含めて保存可能な一方、改竄が困難な電子データを指します。表計算ソフトなど書き換えが可能なソフトウェアでも、書き換えができない様に保護しているファイルの場合は表示用電子データと分類して構わないと思います。前記の電子帳票で業務を遂行しつつ、正式な報告書などは表示用電子データとして保存しておくなどの使い方があります。
短所は、検索や加工に不向きであることです。一部の表示用電子データは検索が可能ですが、必ず検索できることを保証している訳ではありません。
■表形式の加工用電子データ
ここでいう加工用の電子データとは、PCやシステムにデータを取り込んで二次加工することが出来るような電子データです。この電子データのデータモデルは目的別データモデルに該当します。表形式の電子データとしてはCSVや表計算ソフトのファイルが一般に使用されています。表計算ソフトとの親和性が高く、表やグラフに加工する事も容易なので、一般的に人間が作業するための電子データとして多用されています。
短所は表形式と言う制約が多い形式であるため、施設や設備の情報を正しく表現する事は難しく、目的に合わせて最適化して(妥協して)使用する必要があります。
■構造が表現可能な加工用電子データ
ここでいう加工用の電子データとは、前項と同様にPCやシステムにデータを取り込んで二次加工することが出来るような電子データです。構造が表現可能な電子データとしてはXML、JSON、JSON-LDなどが広く活用されています。前記の表形式と異なり、複雑なデータも表現可能なので、施設情報や設備情報の様な多様な内容を含む情報の保存や伝達に便利です。あまり表からは見えませんが、インターネット上の通信ではごく一般的に用いられています。複雑な情報を表現可能である事から、事業者間の情報の引継ぎなどに活用可能です。尚、デジタル庁が推し進めているエリアデータ連携基盤の推奨ソフトウェアの仕様ではJSONの形式のひとつであるNGSI V2に準拠しています。共通データ仕様のデータの形式はこのNGSI V2に準拠していますので、エリアデータ連携基盤を実装している自治体は、共通データ仕様の形式で電子データを作っておくと、そのままエリアデータ連携基盤にも登録可能です。
欠点は、表形式などに変換するツール群がまだ十分に出回っていない事です。そこで本協議会としてはケーススタディにこの変換の事例を掲載しています。
尚、電子データの形式によって共通データ仕様の活用方法が変わります。「共通データの活用方法」で既に記載した内容ですが、今一度表に整理します。横軸が施設管理事業者からオーナーに渡すデータの種類であり、縦軸が共通データ仕様の何を活用するかについて記載しています。個々の活用方法の説明はは「共通データ仕様」も参照して下さい。
| \ データの種類 共通データ仕様の内容\ | 電子帳票/紙帳票 | 表示用電子データ | 加工用電子データ | |
| 表形式 | 構造を表現可能 | |||
| 用語集 | 活用する | 活用する | 活用する | 活用する |
| 項目の選択 | 参考にする | 参考にする | 参考にする | 活用する |
| 項目名 | 参考にする | 参考にする | 参考にする | 活用する |
| データ形式 | 使用しない | 使用しない | 設計時に参照する | 活用する |
全ての場合に用語集を活用する必要があります。これは必須の要件です。また、帳票内や表示用電子データ内にもし表が掲載されるのであれば、表形式の加工用電子データと同様に、表の項目として何が必要なのかについてはデータモデル(電子データの形式)の記載内容が参考になります。また、表の項目名は何が良いのかについては、共通データ仕様のデータモデル(データの形式)の「呼称」には日本語の項目名に使えそうな言葉が記載されているので、もし可能であればそれを採用して欲しいという事です。
以降の記載は加工用電子データに関する記載です。加工用電子データでは、共通データ仕様を活用する必要があります。その形式が表形式であろうが構造を表現可能な形式であろうが、二次加工するためには正しく施設や設備などの対象の情報を電子データ化しておく必要があるためです。
用語の確認と登録
■用語がふそくしていないか事前確認
共通データ仕様の用語に不足が無いか確認してください。用語には地域性や建物の種類に依存するものがありますので、不足している可能性があります。その場合は、事務局に用語案を添えて連絡してください。追加の手続きを行います。例えば、2025-04-20現在、融雪機などの北国にある設備は掲載されていません。尚、共通データ仕様の追加等の申請はPPP共通データ仕様協議会のメンバである必要があります。メンバになる事で連絡用のメーリングリストに連絡先が登録され、用語追加の可否や検討結果の連絡を受け取る事が可能となります。
特に確認が必要な用語は、発生した不具合の現象を示す「現象」、現象検出時に推定される原因を示す「原因」、発生した部位や設備の種類を表す「施設の部位」のみっつです。
用語の追加は運用が始まってからでも可能ですが、事前にわかっている分は追加しておくと後々楽です。
■用語のプルダウンメニューに事前登録
不具合状況を後から分析する立場から見ると、案件の情報登録時に用語として大切なのは発生した現象を示す「現象」、現象検出時に推定される原因を示す「原因」、発生した部位や設備の種類を表す「施設の部位」、簡易な補修を実施した時にどの様な補修を実施したかを示す「簡易処置」、そして不具合の緊急性を示す「不具合の緊急性」の5つです。これらの情報がバラバラの用語で登録されてしまうと、あとで検索したり集計する事が困難になりますので、この5種類の情報は用語を使う必要性が高いと考えています。また、案件が完了した時のステータスは必ず”完了”とします。これが完了以外に”終了”とか無期限の”経過観察”などとしてしまうと後で未完了の案件を抽出する事が困難になります。
これらの用語は出来る限りFMシステムのプルダウンメニューに登録してください。共通データ仕様ではプルダウンメニューに登録する際の利便性を考えて、Excelファイルでも用語集をダウンロードできる様にしてあります。是非活用を検討してください。
その他の事前検討項目
その他にも事前に幾つかの事を決めておく必要があります。以下、代表的なものを列挙します。
- 不動産IDの活用可否: 不動産IDは国土交通省が中心となって検討を進めています。不動産IDは国内の不動産に対し重複の無いIDを振るものなので、共通データ仕様でもこの不動産IDを元に情報の識別を行う仕様となっています。但し、現時点 (2025-07-05) では開始時期は未確定との事です。そこで、共通データ仕様では不動産IDの代わりにオーナーの法人番号と法人内の通番で代替する方法を提供しています。従って、土地や建物の重複しない通番の策定が必要となります。例えば、通番として管理通番(自治体内の施設番号)を利用した場合、法人番号が”9000020342025″である自治体の施設番号が”01234000″の建物は”JP9000020342025-01234000″を不動産IDの代わりに使用します。通番は英数字で構成されている必要があります。
- 表示用電子データの登録場所: 共通データ仕様では、帳票をpdfなどにより電子データ化して保存した場所を登録する事が出来る様にしてあります。保存した場所の登録方法としては、ファイル名とフォルダのパスを登録する方法と、urlを登録する方法の両方を用意してあります。保存した場所を登録するかどうか、登録するとしたらどちらを利用するのかを決める必要があります
- 処理用電子データの登録場所と登録方法: CSVファイルであってもデータの形式含めて共通データ仕様に準拠した電子データであっても、どちらも日本語を含むテキストデータです。このため、一般的なファイルに格納する事が可能です。そこで、処理用電子データの登録先を決めておく必要があります。更にデータ形式も共通データ仕様に準拠してある場合は、エリアデータ連携基盤のデジタル庁の推奨モジュールであるFiware/Orion (ファイウエアオリオンと読みます。単にファイルウェアと呼ぶことも多いです) に直接登録する事もできます。データを参照するにはFiwre/Orionに登録してあるデータを読み出す必要があります。CSVで保存しておいて、後で一括して共通データ仕様の形式に変換してFiware/Orionに登録しても構いません
補足説明
■施設の定義について
政府がオープンデータのデータモデルとして定めている「自治体標準オープンデータセット」では、医療機関、観光施設、介護サービス事業所、子育て施設など、建物ではなく、サービスを提供する機能を表現しています。本共通データ仕様では、自治体標準オープンデータセットを踏襲し、サービスを提供する機能に対応して施設を定義しています。また、近年は民間のビルの一部に自治体のサービス窓口を設置する事の多いため、この観点でも建物と施設を区別してデータモデルを分けてあります。
- デジタル庁ではエリアデータ連携基盤のソフトウェアとしてFiwareのモジュールの幾つかを推奨しています。このインタフェースの仕様はNGSI V2と呼ばれています。 ↩︎



