ケーススタディ#2 – CSVから共通データ仕様の形式への変換 (5/14) — 建物(Building)

「建物(Building)」の項目への変換ルール

　ケーススタディ#1で作成した建物一覧例から「建物(Building)」に変換します。建物一覧表の例で「建物(Building)」から選択した項目は以下の通りです。

元となるCSV表の項目名	共通データ仕様上の項目名		表形式への変換の説明
管理通番	id		本来idは”url:ngsi-ld:Building:”という文字列の後に不動産IDを繋げた形式ですが、本ケーススタディでは自治体の実情に合わせて不動産IDが無いという設定にしました。そこで、代替え手段として”url:ngsi-ld:Building:JP”の後にオーナーの「法人(Organization)」と管理通番からidを生成する事で、どの建物ともIDが重複しない様にします。法人番号はオーナー情報表から法人番号を求め、管理通番と組み合わせてidの文字列を作成したいところですが、本ケーススタディはオーナーは一つに決まっている事を前提として、建物一覧にはオーナーを特定する情報がありませんので、法人番号は固定の文字列としてidを作成します。
(なし)	type		データモデルのtypeを登録します。ここでは”Building”を登録します
建物名	name		建物の名称です。”○○市役所”などです。そのまま転記します。
建物名カナ	nameKana		建物の名称のカナ表記です。そのまま転記します。
管理通番	facilityID		施設管理業務においてオーナーが指定した管理のための建物を識別する番号です。このケーススタディでは8桁の数字です。そのまま転記します。
法人ID	refOwner		オーナーの法人の法人IDです。このケーススタディではオーナーを特定する情報は建物一覧表内にありませんので、固定値として登録します。
所管部門名	refDepartment		所管部門の部門IDです。建物一覧の例では採用しませんでしたので、所管部門名で「部門(Department)」を検索しして求めます。
(なし)	zones		建物内外の場所の名称です。施設管理業務上必須の情報と思われますが、次のページで別に変換し、後で統合します。
	identificationGroup		不動産ID等を登録するための項目です。Arrayの項目ですので一つ目の項目に登録します。
建物不動産ID		identification	建物の不動産IDです。但し、このケーススタディでは自治体の実情に合わせて全て空欄にしてあります。
(なし)		identificationtype	建物の不動産IDである事を示すため”不動産ID”を登録します

CSV表の準備

　「土地(Land)」同様、ケーススタディ#1の建物一覧表の例を使います。

■入力となる表

建物名	建物名カナ	管理通番	建物不動産ID	土地不動産ID	所管部門名	部門コード	所管部門電話番号	国	郵便番号	都道府県	市区町村	町字以下
呉市役所	クレシヤクショ	00000001						JP	7378501	広島県	呉市	中央4-1-6
呉市吉浦市民センター	クレシヨシウラシミンセンター	01234567			市民部吉浦まちづくりセンター	0402004	0823-31-7540	JP	7370852	広島県	呉市	吉浦東本町1-7-23
呉市立吉浦小学校	クレシリツヨシウラショウガッコウ	03000012			学校施設課	0602003	0823-25-3447	JP	7370853	広島県	呉市	吉浦中町2-6-5
呉市立吉浦中学校	クレシリツヨシウラチュウガッコウ	04000008			学校施設課	0602003	0823-25-3447	JP	7370862	広島県	呉市	狩留賀町8-6

■CSVファイルの内容

建物情報の変換

　このケーススタディでは”ctoj”というツールを使いますので、csvファイルを作成する際にはutf-8で書き込んでおきます。

このケーススタディでは以下の様に拡張JSON Schemaを策定しました。拡張JSON Schemaとは、本協議会が公開しているJSON SchemaにcsvからJSONファイルに変換する際のルールを追記したものです。詳しくはツールのサイトを参照してください。「建物」の場合は例えば以下となります。

{
  "$schema": "http://json-schema.org/draft-07/schema#",
  "$id": "https://ppp-database.org/spec/datamodel/Building/",    
  "type": "object",
  "properties": {
    "id": {
      "type": "string",
      "dataSource": {
        "csvAttr": "建物不動産ID",    ----------------------------- 建物不動産IDの中身を確認します
        "prefix": "urn:ngsi-ld:Building:",
        "alternate": {    ---------------------------------------- 建物不動産IDが無かった場合の代替え処理です
          "dataSource": {"csvAttr": "管理通番"},    --------------- 管理通番を読み出します
          "prefix": "urn:ngsi-ld:Building:JP9000020342025-"    --- 管理通番の前に付加する文字列です
        }
      }
    },
    "type": {"const": "Building"},
    "category": {
      "type": "object",
      "properties": {
        "type": {"const": "Text"},
        "value": {"type": "string"}
      },
      "required": ["type", "value"]
    },
    "name": {
      "type": "object",
      "properties": {
        "type": {"const": "Text"},
        "value": {
          "type": "string",
          "dataSource": {"csvAttr": "建物名"}
        }
      },
      "required": ["type", "value"]
    },
以下略--

　この拡張JSON Schemaを指定してctojツールを実行すると、以下の様に共通データ仕様の形式変換した結果が得られます。下図は変換後の先頭部分です。

  [
    {
      "id": "urn:ngsi-ld:Building:JP9000020342025-00000001",    --- 代替え手段でidが作られています
      "type": "Building",
      "name": {
        "type": "Text",
        "value": "呉市役所"
      },
      "nameKana": {
        "type": "Text",
        "value": "クレシヤクショ"
      },
      "facilityID": {
        "type": "Text",
        "value": "00000001"
      }
    },
    {
      "id": "urn:ngsi-ld:Building:JP9000020342025-01234567",
      "type": "Building",
      "name": {
        "type": "Text",
        "value": "呉市吉浦市民センター"
      },
      "nameKana": {
        "type": "Text",
        "value": "クレシヨシウラシミンセンター"
      },
      "facilityID": {
        "type": "Text",
        "value": "01234567"
      },
      "refDepartment": {
        "type": "Relationship",
        "value": "urn:ngsi-ld:Department:JP9000020342025-0402004"    --- 部門名からidが求められています
      }
    },
--以下略--