ケーススタディ#7 – EMLinkを使ってみました(3/4)

不具合登録の準備

 EMLinkでは一連の作業は「勧告」と「保全報告」で登録します。ざっくり言うと勧告とは計画であり、保全報告は作業結果の報告です。例えば施設の巡回点検で不具合が見つかったとすると、巡回点検の計画が「勧告」でありその結果報告が「保全報告」です。施設の一部に不具合が発生した時は基本的に検出した不具合は「勧告」で登録し作業した結果は「保全報告」に登録します。従って、見つけた不具合の情報は「勧告」の項目とする事も可能ですし、「保全報告」の項目とすることも可能です。そこで本ケーススタディでは、「勧告」には不具合検出時の情報、「保全報告」には処置時の情報を登録する方針とします。どこに何を登録するのかはプロジェクトごとに検討してください。

■巡回点検関連の登録

 まず、「勧告」と「保全報告」のカテゴリに「巡回点検」という選択肢を追加します。これは「システム設定」⇒「カテゴリ設定」から「勧告カテゴリ設定」および「保全カテゴリ設定」を選択する事で可能です。詳細は省略します。

■勧告の項目の追加

 本ケーススタディで登録する不具合は設備以外の部位に関するもの2件を想定しています。不具合の登録時に不具合の付加情報として登録が必要な項目を表にしました。種類が「既定」の行はEMLinkが最初から用意している項目であり、参考情報です。種類が「追加」になっている行が共通データ仕様の説明のために追加した項目です。この例では5つつの追加項目がありますが、全部で10個までの追加登録が可能です。尚、既定の勧告の項目は以下以外にもあります。詳しくはマニュアル等をご覧下さい。

EMLinkの項目名種類共通データ仕様の呼称説明
ステータス既定案件/ステータス「完了」などの案件の状況を示します。勧告の段階では期待値「未完了」ですので改めて登録する必要はありません。尚、共通データ仕様で用語「案件のステータス(ComplaintStatus)」を定義していますが、「完了」以外は自由に決めて良い仕様となっていますので、矛盾しません。
ユニット
設備分類
設備ID
既定施設/施設名ユニットは対象の機器を選択して勧告を登録した場合は、EMLinkが自動的に登録します。そうでない場合はプルダウンメニューから選択します。設備分類は既に説明しました。設備分類については
処置予定日既定共通データ仕様では「修繕計画(repairPlan)」に記入可能ですが、予定日付だけを登録する独立した項目はありません。「経緯(timestamps)」に登録する事は可能です。
勧告カテゴリ既定勧告の種類を登録します。EMLinkでは、不具合だけでなく、「分解清掃」などの計画された作業も登録可能です。本ケーススタディが想定している不具合の場合は「作業依頼」「巡回点検」などが選択可能です。
勧告理由既定前記の勧告カテゴリの理由を登録します。例えば勧告カテゴリに法定点検による「定期点検・オーバーホール」を登録したのであれば、ここには「法定点検」を登録します。
勧告内容既定案件/説明巡回点検や不具合に伝いする説明です。
部位概要追加案件/部位概要設備ではない部位で発生した不具合は既に登録した「場所」を表す機器に対して登録しますが、その際に部位の種類を登録します。部位の種類とは「手摺」や「門扉」などを指します。部位の名称は共通データ仕様の用語「施設の部位」から選択します。この項目をプルダウンメニュー化するには、項目を追加した時にその項目の「属性」に”選択肢”を設定すると共に、その項目の「選択肢編集」により登録します。尚、設備は個々に「機器情報設定」で登録済みですので、設備関連の用語の登録は不要です。この「属性」については表の下に詳述します。
部位補足追加案件/部位補足部位に対する補足です。自由文で登録します。
不具合
現象概要
追加案件/現象概要不具合を検出した際に確認した現象を用語「不具合現象」から選択します。この項目をプルダウンメニュー化するには、項目を追加した時にその項目の「属性」に”選択肢”を設定すると共に、その項目の「選択肢編集」により登録します。
不具合
現象補足
追加案件/現象補足不具合現象に関する補足を自由文で登録します。
不具合
原因概要
追加案件/原因概要不具合を検出した際に原因と考えられるものを用語「不具合原因」から選択します。この項目をプルダウンメニュー化するには、項目を追加した時にその項目の「属性」に”選択肢”を設定すると共に、その項目の「選択肢編集」により登録します。
不具合
原因補足
追加案件/原因補足不具合原因に関する補足を自由文で登録します。
不具合の
緊急度
追加案件/緊急度マーク不具合の緊急性を”S”,”A”,”B”,”C”で登録します。この項目をプルダウンメニュー化するには、項目を追加した時にその項目の「属性」に”選択肢”を設定すると共に、その項目の「選択肢編集」により登録します。
緊急度
補足
追加案件/緊急度補足緊急度マークに対する補足です。自由文で登録します。
要望事項追加報告/要望オーナーからの要望事項などを自由文で記述します。
所見追加報告/所見作業者の所見を記述します。自由文で登録します。
添付資料規定報告/ドキュメントEMLinkではファイルをアップロードする機能とURLを登録する機能の両方を提供しています。もし、作業計画時や不具合検出時に報告書や写真を登録する場合はこの機能で登録可能です。

■保全報告の項目の追加

 本ケーススタディで登録する不具合は設備に関するものと設備以外の部位に関するものの二種類を想定しています。不具合の登録時に付加情報として登録が必要な項目を表にしました。この例では6っつの追加項目がありますが、全部で10個の登録が可能です。尚、既定の保全報告の項目は以下以外にもあります。詳しくはマニュアル等をご覧下さい。

EMLinkの項目名種類共通データ
仕様の呼称
説明
ユニット
設備分類
設備ID
既定施設/施設名対象の機器を選択して勧告を登録した場合は、EMLinkが自動的に登録します。そうでない場合はプルダウンメニューから選択します。
検査・工事実施日既定報告/実施日共通データ仕様では「修繕計画(repairPlan)」に記入可能ですが、予定日付だけを登録する独立した項目はありません。「経緯(timestamps)」に登録する事は可能です。
保全カテゴリ既定「分解清掃」や「修繕工事」などの保全の種類を選択します。
保全概要既定案件/説明このへ保全に関する説明を自由文で記述します。
要望事項追加報告/要望オーナーからの要望事項などを自由文で記述します。
所見追加報告/所見作業者の所見を記述します。自由文で登録します。
簡易処置追加報告/簡易修繕オーナーとの契約で指定された軽微な不具合の場合に処置内容を用語「簡易処置」から選択します。この項目をプルダウンメニュー化するには、項目を追加した時にその項目の「属性」に”選択肢”を設定すると共に、その項目の「選択肢編集」により登録します。
添付資料規定報告/ドキュメントEMLinkではファイルをアップロードする機能とURLを登録する機能の両方を提供しています。もし、作業計画時や不具合検出時に報告書や写真を登録する場合はこの機能で登録可能です。本ケーススタディではファイルをアップロードしていますが、ファイルの数が多い場合や関係者が多い場合は、各種のファイル共有サービスを活用してURLを指定する方式も検討しては如何でしょうか。

 これらの項目の追加は「システム設定」⇒「情報設定」⇒「勧告情報設定」または「保全情報設定」から行います。この追加の際に各項目に対し「属性」を設定する必要がありますが、「部位種別」「不具合現象概要」「不具合原因概要」に示した「不具合の緊急性」「簡易処置」についてはプルダウンメニューとしたいので、「選択肢」を選択します。それら以外は文字列なので「文字列」を選択します。選択肢については、前表に示した共通データ仕様の各用語を転記します。但し、部位概要と言う項目には設備に関する用語は登録する必要はありません。これは設備は事前に「機器」として登録しておくためです。下図は保全報告の登録後の様子です。プルダウンメニューは選択肢編集」で登録します。

勧告と保全報告書の登録

 さて、いよいよ韓国と保全報告を登録します。本ケーススタディでは巡回点検により不具合が見つかったケースを想定します。ケーススタディ#0では5つの不具合を例示していますが、それらの不具合の内、2番目と3番目の小学校の階段に不具合が見つかったとします。

 まずは巡回点検の登録です。「勧告」⇒「勧告一覧」⇒「+追加」を順にクリックする事で、勧告を登録する「勧告立案」のウインドウが表示されるので、次の様に勧告を登録する画面が出てきますので必要な情報を記入します。この例では巡回点検は3か月に一度としてあります。この場合は1年間で計4件の勧告を一回の操作で登録しています。

登録後に勧告の一覧を見ると確かに4件登録されています。この様に将来発生するであろうイベントを効率的に登録する事ができます。便利ですね。

 さて、1回目の巡回点検がおわったとして、結果を登録しましょう。登録は2段階に分かれます。ひとつは巡回点検に関する報告、もうひとつは点検の結果検出した不具合に関するものです。

 巡回点検に関する報告は更に2段階になります。まず勧告一覧から今回の巡回点検の勧告番号をクリックして勧告内容を表示してから「編集」でステータスを「完了」にします。次に上図の右上の「保全報告書作成」から報告書を登録します。クリックすると結果を登録する画面が表示されますので、表題等を入力して詳細情報の登録に進み、必要事項を登録します。例えば、以下の様な内容ですね。最後に編集保存をクリックして作成を完了します。

報告書を作成するとワークフローでメールと連動して承認を求め、承認者はそのメールのリンクから承認することができます。本ケーススタディでは共通データ仕様とは関係しないので割愛します。試用される方は是非試してみて下さい。

 次に不具合の勧告を登録しますが、今回は設備に対するものではないので、施設内の場所の「機器」に対して不具合の勧告を登録します。機器台帳には沢山の機器が登録されていますから、まずは機器一覧の検索条件で「ユニット」を選択すると共に、設備IDに「2F」と入れて絞り込んでみましょう。2Fは部分一致なので、このケーススタディでは小学校の2階の部屋が6っつだけ表示まれます。そこから、西階段室を選び、2階の西階段室の「機器」を選びます。子、巡回点検の勧告を登録した時と同じ手順で、不具合の勧告を以下の様に登録します。

簡易処置で作業は完了したことを想定しているので、「編集」でステータスを「完了」にするとともに、右上の「保全報告書作成」をクリックして報告書を作成します。以下が登録した保全報告書です。報告書のpdfも添付資料として保存しました。

今回は、ノンスリップの剥がれを認めたことで「勧告」と「保全報告」を登録した様子を掲載しましたが、この保全報告の際に新たな関係する「勧告」を登録する事もできます。上手は新たな勧告(勧告番号13番)を登録した例です。この13番で恒久処置の勧告とします。

新たに作成した勧告の現象や原因などの詳細は一旦登録してから編集画面で行います。

以上で共通データ仕様に関係する情報登録は完了です。