事例紹介: DXを求める調達仕様

デジタル化を要求する給食センタの調達仕様

 給食センタの整備事業の実施方針公開時に仕様書案には共通データ仕様を明記していないものの、デジタル化を要求している仕様を紹介します。尚、各事例に記載した説明は事務局で執筆したものであり、協議会で合意したものではありません。もし、誤認や記述漏れなどがありましたら、コメントを頂ければ助かりす。

■埼玉県熊谷市

 2024-11-18に「新熊谷学校給食センター整備事業に係る実施方針および要求水準書(案)の公表について」が公開されておりました。これに対し2025-03-06に「新熊谷学校給食センター整備事業に係る実施方針および要求水準書(案)など改訂版の公表について」が公表され、要求水準書(案)が改訂されました。この改訂の中で、DXの提案と電子データの提供を求める内容の記述がありました。

 「新熊谷学校給食センター整備事業要求水準書(案)【改訂版】」の特徴ある記載は以下となっています。

第2 設計・建設業務

4 設計業務及びその関連業務に伴う各種許認可手続き等の業務

(2) 業務内容

エ 基本設計及び実施設計に関する書類の提出
 基本設計及び実施設計の各終了時には、以下の書類(電子データ化が可能なものについては、電子データを含む)を提出する。なお、提出時の体裁、部数等については、別途指示する。

5 工事及びその関連業務に伴う各種申請等の業務

(3) 完了時の業務内容

イ 市による完工検査

(イ)工事完成図書は、以下の書類について紙及び電子データにて提出することにするが、提出時の体裁、部数も含め詳細は別途指示する。
・工事完了届
・工事記録(工事記録に関する写真を含む)
・完成図(建築)
・完成図(電気設備)
・完成図(機械設備)
・完成図(調理設備)
・各種試験結果報告書
・マニュフェストA・E票(写し)
・調理設備(リスト・カタログ)
・調理備品(リスト・カタログ)
・什器備品(リスト・カタログ)
・各種承諾図
・設備・備品関連説明書等(取扱説明書、運転方案、保全計画書、保証書の写し)
・完成調書
・完成写真
・諸官庁届出書類の写し
・その他必要図書及び市が必要と認めたもの

第5 維持管理業務

1 総則

(2) 維持管理業務における基本的な考え方

効率的かつ効果的な維持管理業務の実施、及び事業終了時の円滑な維持管理データの承継に資するように、DXに取り組む。

(8) 施設管理台帳等の作成
 施設管理台帳及び備品管理台帳を整備・更新・保管し、市の要請に応じて提示する。また、工事完成図書を基に、(1)ア~オの業務における補修・修繕・更新等の内容を反映した図面や台帳を作成・保管し、市の要請に応じて提示する。

2 建物保守管理・修繕業務(外構等も含む)

(2) 業務内容

エ 建物・外構等維持管理記録の作成、更新、保管及び提出
 建物・外構等維持管理記録は、全て電子データ化し事業期間終了時まで保管する。また、点検・整備・事故内容等は、毎月の月報に記載する。

3 建築設備保守管理・修繕業務

(2) 業務内容

エ 建築設備維持管理記録の作成、保管及び提出
 設備の運転・点検整備等の記録は、以下に示す運転日誌、点検記録及び整備・事故記録等を全て電子データ化し事業期間終了時まで保管する。

(ア)運転日誌
(イ)点検記録
 a 電気設備・通信設備点検表
 b 空調設備点検表
 c 給排水、衛生設備点検表
 d 受水槽点検記録
 e 調理用水水質検査記録
 f 防災設備点検記録
 g その他提案により設置される各種設備の点検・測定記録
(ウ)整備・事故記録
 a 定期点検整備記録
 b 補修記録
 c 事故・故障記録

4 調理設備保守管理・修繕業務

(2) 業務内容

ウ 調理設備維持管理記録の作成、保管及び提出

 維持管理記録は、全て電子データ化し事業期間終了時まで保管する。また、点検・整備・事故内容等は、毎月の月報に記載する。

7 清掃業務

(2) 業務内容

エ 清掃管理記録の作成、保管及び提出
 清掃記録は、全て電子データ化し事業期間終了時まで保管する。また、清掃内容等は、毎月の月報に記載する。

 尚、実施要領などの全文については、以下をご覧ください(PFI協会会員専用のページです)。

  https://pfikyokai.or.jp/pfi-data/pfi-data/pfi-data/2024/1211/1211.html

 記載ヶ所は委託仕様書の30,45-49ページです。

 特徴は、DXの目的が具体的に「効率的かつ効果的な維持管理業務」と「円滑維持管理データの承継」と記載されている点です。これにより、例えば(8)の管理台帳なども効率的なかつ効果的である様にどう提案するかを考える必要があります。また、円滑なデータの承継をどう実現するのかについても提案する必要があります。各種役務全般で電子データ化を求めている点も特徴でしょう。