包括施設管理における使い方 (2/6)

FMシステムへの不具合登録

 共通データ仕様を採用する目的のひとつは後々不具合などの分析を行えるようにする事です。従って、登録されるデータは不具合毎に1件いっけん別々に登録しておくことが有効です。本共通データ仕様では、不具合は「案件 (Complaint) 」というデータモデル (以下、Complaint) に登録し、報告書は「報告 (Report) 」というデータモデル (以下、Report) に登録します。Complaintには設備や部位はひとつしか登録できません。従って、不具合は1件いっけん別々に登録する必要があります。一方、Reportには複数のComplaintに対応する事ができます。つまり、下図の様な対応関係になります。

 巡回点検などの際に、校舎の1階と2階および体育館でそれぞれ不具合が見つかったとしています。また、報告書は3回提出されると共に、12条点検でもこれらの不具合の報告をしたと想定しています。この様に、Complaintは不具合毎に登録する必要があります。尚、この図では棟毎にBuildingを登録する場合を示していますが、共通データ仕様としては必ずしも棟毎に登録する必要はありません。同様に12条点検の報告書を登録する事を必須としている訳でもありません。

 施設管理のソフトウェアやクラウドサービスによっては、ひとつの不具合を登録する際に、複数の場所や設備を一括して登録出来るものがあります。その場合、電子データを出力する際に別々の不具合として出力できるかどうかを確認する必要があります。もし、別々の不具合として出力できない場合は、不具合を1件いっけん別々に登録する様な運用にする必要があります。

用語の不足の確認

 共通データ仕様の用語に不足が無いか確認してください。用語には地域性や建物の種類に依存するものがありますので、不足している可能性があります。その場合は、事務局に用語案を添えて連絡してください。追加の手続きを行います。例えば、2023-12-06現在、融雪機などの北国にある設備は掲載されていません。尚、共通データ仕様の追加等の申請はPPP共通データ仕様協議会のメンバである必要があります。

その他の事前検討項目

 その他にも事前に幾つかの事を決めておく必要があります。以下、代表的なものを列挙します。

  • 不動産ID: 土地や建物には不動産IDが振られています。不動産IDは登記した際に振られる不動産番号から作られます。但し、自治体が保有する土地や建物の場合は、登記が免除されている場合があり、不動産IDが未確定である可能性があります。登記していない土地や建物の不動産IDについては国土交通省が中心となって検討中ですが、現時点 (2023-12-06) では未確定との事です。そこで、本共通データモデルでは不動産IDが無い場合は法人番号と法人内の通番で代替する方法を提供しています。例えば、法人番号が”9000020342025″である自治体の施設番号が”01234000″の建物は”JP900002034202501234000″を不動産IDの代わりに使用します
  • 電子帳票の登録場所: 本共通データ仕様では、帳票をpdfなどにより電子化して保存した場所を登録する事が出来る様にしあります。保存した場所の登録方法としては、ファイル名とフォルダのパスを登録する方法と、urlを登録する方法の両方を用意してあります。保存した場所を登録するかどうか、登録するとしたらどちらを利用するのかを決める必要があります
  • 電子データの登録方法: 本共通仕様に準拠した電子データは日本語を含むテキストデータですから、一般的なファイルに格納する事も、エリア・データ連携基盤のデジタル庁の推奨モジュールであるFiware/Orion (ファイウエアオリオンと読みます。単にファイルウェアと呼ぶことも多いです) に登録する事もできます。データを参照するにはFiwre/Orionに登録するか、或いは共通データ仕様をcsvなどに変換する必要があります。逆に、csvで保存しておいて、後で一括して共通データ仕様に変換しても構いません